私が、はじめてご契約をいただいたときの話です。
その日は国領店で仕事をさせていただいていました、新人の僕は『今日こそ絶対に一件はご契約をいただくぞ』と気合を入れて一件ずつ訪問を開始しました。
少しして、あるお宅を訪問したときです、まずインターフォンを押すと奥様が出られました。しかし、すぐにご主人に『ちょっと待ってくれ』と言われましたので、玄関の外で待っていると、すぐにご主人が出てこられましたが、ご主人は激怒されているご様子で『昨日も今日も毎日毎日、何回来るんだ!!』といきなり怒鳴られてしまいました。そのまま、お怒りが収まる気配もなく玄関先で怒られていると、近所の方たちが様子を気にしたのか、集まってきました。僕はご主人に促されるままに玄関の中まで入り、そのままご主人のお怒りは収まる気配はなく、僕はただじっとお話に耳を傾けていました。
一時間ほどが経過したでしょうか、だんだんとご主人のお怒りも収まり、落ち着いてきました。僕は、何気なく家の中を見渡すと、ふと木刀や、日本刀が飾ってある事に気がつきました。僕は『剣道とか、武道をなさっているのですか?』とご主人にお聞きしました。するとご主人は『幼い頃からずっと続けている』とおっしゃいました。僕は『私も剣道を小学校一年生からやっているんですよ』と言うと。ご主人に『腕を触らせろ』と言われましたので、腕を差し出しました。するとご主人の表情がさきほどとはうってかわって柔らかくなり、『剣道、頑張ってるな』といっていただきました。それから10分くらいの間剣道の話をしていると、急にご主人が『6ヶ月くらいなら読売を裏切ってやるよ!』と言ってくださり、生涯初めてのご契約をいただく事ができました。
新人の僕にとっては、少し手厳しいお客様でしたが、僕は営業の神様にこの仕事に対する思いを試されたのかもしれません。
これからも、どんなときにも初心を忘れず、お客様のお話をよく聞いて、自分らしいセールスマンであり続けたい。そんな決意をする事ができた、『はじめての契約』でした。
そして、ご主人は帰り際に僕にコーラをくれました。