レジェンドストーリー

- お客様と作る感動の物語 -

STORY.83

2019年上半期レジェンドストーリー銅賞S.O

対象ストーリー
2019年上半期 平成31年2月度 ASA柴崎

柴崎のお店に入店した日のことでした。
その日は一週間のお試し読みをしていただいたお客様のお宅を訪問する日であり、わりとお店から離れた場所に点々とあったので、最初にひと通り訪ねることにしました。
あるお客様のお宅に訪問すると取扱紙である日経新聞を現在購読しているという方に出会いました。
購読紙が取り扱っている新聞なので無理なお願いも程々にしないとな・・・と思いながら御主人と話を進めてみました。
日経新聞取って頂いている上に恐縮ですが(笑)
・・・といったような話をして、ご無理のない範囲で一度朝日も、配達させて欲しいといった話をしてみると、奥さんがいないからまたいずれな(笑)と言われてしまいました。
それでもとてもいい人だという印象を受けたので、また夕方以降にもう一度、来てみます。とお辞儀をしてその場を立ち去りました。

その日は、在宅があまり良くなくて、軒並み訪問しても留守の割合が多かったので、苦戦していました。
暗くなってから、例のお宅にもう一度訪ねてみると、出てきたのは御主人よりもさらに、いい人といった雰囲気の奥様が軽く微笑みながらドアを開けてくださいました。勝手に訪問しているこちらまで優しい気持ちにさせてくれるような、温かな感じのする奥様です。

すると、奥様はちょっと待ってくださいね。と言って、奥に御主人を呼びに行ってくださいました。ちょっと間をおいて奥から御主人が、
「風呂に入ってたんだ。ちょっと上がってくれ。」と、バスタオルで頭を拭きながらおっしゃいました。
話の展開の中で自分のイメージにはご契約をいただけるという流れは無かったので少し面食らい瞬時に色々考えました。しかしあの奥様なら変な話にはならないだろうと思い、上がらせてもらうことにしました。何しろ日経新聞を購読されている方なので、一緒に朝日新聞を購読していただくことがが無理ならすぐに引こうと思いながら・・・テーブルのある昔ながらの茶の間にとおされました。

奥様がお茶を出してくださり、御主人が椅子に座ると、話し出しました。
「朝日新聞を取ってもいいが、条件がある。」
と言って、引出しに手を伸ばしました。
取り出したのは、古い新聞のスクラップ。
それを見せて言いました。

これは50数年前の朝日新聞の記事なんだけど・・・これは私の母校でね。当時東京の高校で野球をやっていたんだよ。私は甲子園には行っていないんだけれどね、その当時、東京大会に出場した高校の特集記事を10回ほどの連載で記事にしてくれてね。これがその切抜きなんだ。でも全部で10回のうち1回目と最後の回が抜けている。
この抜けている記事を、来年ある同窓会までに探して、集まる仲間にコピーして渡したいんだ。朝日新聞には記事があるかも知れないから、探して欲しい。これが条件だ。
これが出来るなら、今、妻が読んでいる読売を朝日に変えてもいい。よかったらずっと続けるかも知れない。出来るかな??

わかっているのは1960年代の記事であること。
記者が青木 久 という方であること。
通し番号があること。

それくらいでした。
でも・・・なんとかなりそうな気がしました。だからこう言いました。
最大の努力をさせてらいます。明日、朝日新聞に問い合わせて、手に入れる方法を見つけて来ます。そしてわかり次第、ご連絡致します。
100%無理ということはないと思います。
少しでも力になれるならやらせてもらいます。

そう言って、御契約いただきました。

翌日、朝日新聞本社のサイトから記事に関する問い合わせ、というところに電話をして朝日新聞のセールスをしております岡田と申しますと名乗ったところで、コールセンターの番号を伝えられましたが、自分の用件を伝えて、それでもコールセンターですか??と聞くと、電話口の担当者は、

すみませんでした。それならこちらで伺いますと、丁寧に聞いて下さいました。

答えは・・・まず新聞記事の膨大な資料はここにはありません。ですからご指定の記事をこちらで探すことは不可能です。ですが、都立図書館に行くと、すべての新聞のデータを検索できるようになっているので、そちらで探していただくしか・・・ありません。見つかればコピーは可能です。力不足ですみません。
ということでした。

そして、御主人に電話して、その内容を伝えて朝日新聞に出来ることはここまででした。と。
御主人はありがとう。やってみます。
と言ってくださいました。
その後、どうなったのかは夏くらいまでには聞いてみたいと思っております。手に入れることが出来ていたら嬉しいなと思っています。

新聞とは日々配達されて来ます。でもすべての人に対して色々な重要度や、思い入れが違ってきて当たり前なのだと、改めて感じました。
こちらは毎日同じ新聞を売っていますが、そのひとつひとつ、セールスの仕方が違って来ること、それを心に留めた1枚でした。