レジェンドストーリー

- お客様と作る感動の物語 -

STORY.119

2023年度レジェンドストーリー金賞

対象ストーリー
2023年度 令和5年12月度 ASA駒沢

この日は毎月のように入店させていただいている駒沢店での営業です。

特に何かがあるというわけではないのですが入店するときは毎回緊張していてこの日も所長から「頑張って来いよ」と声をかけていただき身がしまる思いでした。

出発してすぐに訪問を開始したのですが行けども行けども見たことのある景色、、、

何度も来ていることが先入観になり、お会いしたことのないはずのお客様でさえ一度断られたことのあるように思えてきます。中々テンションが上がらないまま訪問を続け気が付けばもう16時半をまわっていました。

このままではまずいと思い気持ちを切り替えるため一旦地図に落とし込んでいた過去に購読されていたお客様のお宅に訪問してみることにします。

今自分のいる場所から一番近くのお宅に伺いインターホンを押すと1年前に購読されていたというお客様が出てこられました。

私はここしかないと思い気合を入れてアプローチをしましたがお客様は「もう新聞はどこも取る気がない」とおっしゃいます。

ですが私も引き下がらずにお願いを続けます。その時の気持ちは「とにかくここで決めよう。」「ここで決めないと気持ちが落ちたままになる」そんなことしか考えていませんでした。

するとお客様から「あなた何考えてるの!自分の都合ばかりで私の気持ちを考えたりしないの?必死なのはわかるけど取ることを考えていないのに無理に取ってもらうのはちがうでしょ!」そう言われてしまいました。

その言葉を聞き私はハッと我に返りました。お客様のから言われた通り自分の事しか考えておらず自分の都合のためにお客様に押し付けていたのです。

「申し訳ございませんでした」と深く頭を下げ、とりあえずその場を後にし少し離れたところで立ち止まり考えました。一旦頭を冷やそう、、、今の自分をやり方は間違っているのか、、、そう思い入社した時のことを思い出していました。

あの時はどうだったか、、、何もわからず入社した私はただただ教えてもらったことを繰り返して必死だったなあ、、、出会ったお客様からは「あなたすごく頑張っているわね」「あなたの話を聞いて新聞読んでみたくなった」そんな言葉を頂いていました。

そういった事がうれしくて毎日夢中になっていたのです。ですが先程までの私は全く別人のようでした。

自分のメンタルのためにとにかく契約をしないと、成績のために契約してください。

そんな自分勝手な都合で無理やり押し通そうとしている自分がさっきまでいたのです。

あと少しの時間ですが「とにかく今日1日は初心に還ってみよう」そう心に決めて再び軒並み訪問を開始しました。

しかし急に昔に戻るということは簡単ではなく、何となくぎこちないまま何件も断られ時間が過ぎていきます。ですが去り際にお客様からは「頑張ってね」や「私はダメだけどあなたならいいお客様必ずできるわよ」と言われるようになり気が付くと初めにあった先入観は全くなく、無我夢中に営業していました。

そしてついにギリギリのところで1件のご契約を頂くことができたのです。

時間も遅くなりあとは販売店に戻るだけだったのですが先程怒らせてしまったお客様のことが気になり最後にもう一度謝りに行こうと思いお宅へと向かいました。インターホンを押すとお客様は「もう取らないって言ってるでしょ!」と強い口調でおっしゃったので私はすぐに「いえ、契約の話ではございません。改めて反省とお詫びをさせて頂くため伺いました。」

「先程は自分の都合ばかり押し付けお客様のお気持ちを考えず申し訳ございませんでした。ただお客様からお叱りを頂いたことで大事なことに気が付きました。そのおかげで1件ご契約を頂きました。不快な思いをさてせしまって申し訳ございません。そしてお客様のお言葉で気が付かせていただきありがとうございました。」

そう伝えると私は深くお辞儀をし、立ち去ろうとしました。するとお客様から「待って、わざわざそんなこと言いにきたの?」私は「はい、そうです」というとお客様は「ちょっと待って」そう言って再び出てこられました。

先程とは打って変わって満面の笑みで出てこられたお客様は「あなたのために朝日新聞付き合ってあげるわ」そう言っていただいたのです。

最後にお客様からこう言われました「人の気持ちって簡単に動かないよ。ましてや初めてあった人なら尚更。だからそうやってしつこいとかじゃなくてあなたの誠意に共感してくれる人がいないとね。すべての人がそう思うのなんて無理だから共感してくれる人を大事にしなさい」私はその言葉を大切に受け止めその場を後にしました。

長くこの仕事をやっていくにつれいつの間にか業務をこなしているような気持になり日々過ごしていました。いえ、もはやそんな気持ちになっていたことにすら気が付いていませんでした。

奥様からお叱りを受けなければきっと今も変わらないままだったと思います。

あの出会いがあったからこそまた一歩前に進むことができました。

これからもこの気持ちを大切にし頑張っていこう。そう思わせていただいた1日でした。